この日は親子レクとPTA総会の後、パネルディスカッションが開催されました。進行は保護者であり卒園生でもある新垣さんが務め、和やかな雰囲気の中、教育者の思いや保護者が実感する子どもたちの成長について語られました。
佐久田園長は、モンテッソーリ教育の概要について説明しました。特に5つの領域(日常生活、感覚、数、言語、文化)の中でも日常生活訓練の重要性に触れ、次のように述べました。
「コップに水を注ぎ、こぼしたら拭く。新しい布巾を添え、次のお友達がまたお仕事ができるようにする。クララ幼稚園のお部屋の中では、子どもたちがお互いに思いやりを持ち、秩序を保って生活しています。我慢をし、やるべきことをきちんと行うことで、人間としての基礎が育まれます。算数の仕事が上手にできても、日常生活で『やめた』とか『したくない』という態度では成長は難しい。基本の日常生活訓練こそが土台です」
嶺井先生は、教師の資質向上のために実践している研修について話しました。クララ幼稚園の教師は、広島モンテッソーリ教師養成コースを履修し、ディプロマ(資格)を取得しています。
「その研修は過酷で、自分との戦いでした。モンテッソーリ教育は幅広く奥深いものです。教師も悩み、葛藤しながら勉強しています。そんな中で救いとなったのは、モンテッソーリが掲げる自己教育力の存在です。子どもたちが難しいことも一生懸命できるようになりたいと頑張るように、私も頑張ろうという気持ちで乗り越えることができました」
このように述べ、教師と園児がともに成長している姿が語られました。
保護者からもクララ幼稚園でのモンテッソーリ教育による子どもたちの成長の実感が話されました。
前PTA会長の伊集さんは「これまで3人の子どもが卒園しましたが、集中力ややり遂げる力が強いと感じています。周りを見て、困っているお友達をサポートすることもできるようになりました」と話しました。
卒園生でもある伊佐さんは「導入保育で、上履きを持つ・鞄を持つ・椅子を持つ、と本当に少しずつステップアップしていくことが大変だと思いますが、先生が子どもにそれを真剣に伝えていく姿を見たとき、私の子どもが大切に扱われていると感じて嬉しかったです」と語りました。
幼稚園の元教師でもある川上さんは「家庭でも選択と秩序を大切にしています。例えば、朝起きてから幼稚園に行くまでの生活の流れを絵に描いて毎日同じにすることで、行動の意識化や子どもの安心感につながっています」と述べ、家庭でもモンテッソーリ教育を実践している事例が紹介されました。
このディスカッションを通じて、教育者と保護者がモンテッソーリ教育への理解を深め、共に成長していく姿が感じられました。